もも組(年中組)

ちょうど10年前の3月11日。宮城県沖で大きな地震が起こり、東北地方は揺れと共に津波によって大きな被害を受けました。

星美幼稚園では卒園感謝会の片付けの最中だったそうですが、誰も怪我をすることなく自宅に戻り、卒園式も急遽延期し、各保育室で行ったそうです。お聖堂のマリア様が倒れましたが、幼稚園には大きな被害はありませんでした。連日テレビで流れる津波の映像に、大きな被害のなかった私たちは何かの映画を見ているかのような気持ちだったことを覚えています。

それでも、インフラが機能しなくなり、計画停電や物資不足等災害時の困難に合いましたが、東北の大きな被害を受けた方々、原子力発電所のある地域にお住いの方々は調布に住む私たちとは比べ物にならないほどの被害を受け、多くの方々が大切な人・場所・時間・思い出を失った東日本の地震。あれからもう10年です。時が経つのは早いですね。。。

私たちは今、新型コロナウイルスの感染予防対策をしながら少しでも以前と同じような日常を取り戻したい!と思いながら過ごしていますが、10年経った今でも被災された方々・地域の中には再建がなされていないところや、まだまだ苦しい生活を強いられている方々、震災前の家や地域に戻りたくても戻ることのできない方が4万1千人もいらっしゃるそうです。運動会でも「前向き!前向き!」と希望を持つことを大切に過ごしてきた年中組ですが、忘れず心を寄せる事、学んだ教訓を次に生かすことはとても大切なことです

子どもたちが生まれる前に起きた震災ですが、今年も年中組皆で、「慰霊」の気持ちを込めて灯篭作りを行いました

灯篭作りは、ボランティアで何度も被災地に足を運んでいる、事務員のOさんの話を聞くところから始まります

10年前に東北で大きな地震があったこと、地震も大きかったけれど、その地震によってできた津波によって更なる大きな被害がでたこと、たくさんの人が亡くなったこと…etc

中でも、毎年子どもたちの心に残るのが「ふじ幼稚園」の話です。

地震発生時、ふじ幼稚園には50名近くの園児が残っていたそうです。地震が大きかったこともあり、少しでも早く保護者に引き渡そうと2台の園バスに乗り込みましたが、津波に飲み込まれ、バスの中まで砂や水が入り込んできたそうです。先生方は子どもたちを守ろうと必死に園バスの天井に子どもを逃がしたそうですが、園児が8名と一人の先生がお亡くなりになられた…というお話でした。

星美幼稚園にもバスがあり、同じ年齢の子どもたちがそのような経験をしていたことに驚き、顔をしかめる子どももいました。亡くなり、神様のところへ逝った人もたくさんいたけれど、バスの天井に避難して助かった子どもはもう高校生になることを伝えると「あーよかった」「でも、友だちが死んでしまって悲しいね」「先生は子どもを助けてくれたんだね。。。」と子どもたちなりに理解する姿に、今年1年、様々な我慢を強いられた生活をする中でも楽しみや喜びを見つけ、友だちと一緒に過ごせる・遊べることを経験したからそこ感じられるものもあったのでは…?と心の成長をうれしく感じました

そして、その亡くなった人たちのことを「忘れないよ」「天国でたくさん遊んでね」「みんなの分まで元気に遊んで、食べて、大きくなるよ」の気持ちを込めて灯篭を作ることを伝え、天国にいる人たちの心が「ホッ」とするような絵を描こう!と2人組で話し合いをしてから絵を描きました

自分を主体で考えていた年中組のスタート時。成長に伴い、少しずつ相手にも意見があることに気づき、聞こうとする姿勢や聞き入れ、良い方法を考えられるようにこの1年で成長しました。

友だちと一緒に1つのことをするのは、難しいこともあるけれど、共感したり、楽しんだり、喧嘩したり、一緒にいるから、隣にいてくれるから、応答してくれるからできる素敵なことですよね

 

これは一部ですが、子どもたちが「慰霊」の気持ちを込めて描いた絵です

そして、この絵が、こんな風に灯篭になり、

3月11日に下の写真のように灯篭が並べられ、

夜6時からの式典で、火が灯され慰霊の祈りが捧げられました。

子どもたちの心が、式典に参加した方々にも、天国にいる方々にも届いていればいいな…と思っています。

年中組も残すところ修了式のみとなりました。最後の1日はお休みがいませんように